2007年5月21日月曜日

リハビリを受ける期間を決めるのは誰?

リハビリを受ける期間って誰が決めるんでしょう?

・リハビリを受けている本人や家族
・リハビリを行っているセラピスト
・処方している医師

ニュースでは、
リハビリについては、昨年4月の診療報酬改定で心大血管疾患・脳血管疾患等・運動器・呼吸器-という4つの疾患別リハビリ料が導入されるとともに「日数制限」も設定された。これに伴い、心大血管疾患は150日、脳血管疾患等は180日、運動器は150日、呼吸器は90日を超えると、一部の除外規定疾患の患者を除き、原則として医療保険でリハビリを受けられなくなった。 4疾患別のリハビリ料と日数制限について、同省は今年4月に一部「緩和」する措置を取ったものの、リハビリ料の「逓減制」などを制度化。改善が期待できる場合には日数制限を超えてもリハビリを継続できることになったが、診療報酬の「逓減制」が導入されたことで、医療機関にとっては〝再改定〟前よりも低い報酬でリハビリを提供しなければならない場合も出ており、「必要なリハビリを保障するためには、一切の条件をつけず、日数制限を即時に撤廃すべき」と指摘する関係者は多い。

わかりますか、意味が?

リハビリや医療の世界で働いている方なら理解できると思いますが、そうでない方はピンとこない人がほとんどでしょう。

簡単に言うと、
「かかった病気によって、リハビリできる日数は決められてしまっている。一定の日数に達するとリハビリを行っても病院がもらえる報酬は減少し、さらに基準を超えると全くおもらえない。患者さんの後遺症が残っている、リハビリを行う必要がある、本人、家族が今後もリハビリを希望しているに関わらず二数で区切りが設けられている」
ということになるでしょう。

例えばあなたが何かの病気(脳卒中)にかかったとします。一生懸命リハビリをして、何とか自分でできることは増えてきました。しかしまだ体は不自由な部分が多く、もっとリハビリをしたいと考えています。しかしそこでは「日数制限」が絡んできます。
患者:「もっとリハビリさせてもらいたいから入院して頑張りたいです」
病院:「病院にいられるのは○○日以内で、それ以上は無理です。退院してください」
患者:「じゃあこれからリハビリしていくにはどうすればいいんですか?
    これ以上よくならないじゃあないですか?見捨てるんですか?」
病院:「リハビリばかりに心をとらわれず、生活に目を向けてください。
    後遺症は必ず残りますよ」
患者:「これからぞうすればいいんだ・・・」
極端な例ですが、同じような例は自分の病院でも数多くあります。

病院側としては、長く患者さんを入院させればさせるほど、報酬として得られるお金は減少していきます。新しい患者さんを多く入院させ、回転率を高めていくほうが利益が多いのです。国としては、長くリハビリや入院をさせることで医療費の増加を防ぎたいという明確な意図があります。医療費削減の為の一つの方法とされる、介護保険を使用したサービスに流れるのです。しかし、介護保険下でのサービスでは、充実したリハビリを行うのが難しいのが現状です。長期の経過をたどる方は、「国、病院に見捨てられた」と感じる方が多いでしょう。

自分達セラピストも、制度に対する不満は大いにあります。もっとリハビリをすればよくなる患者さんがいても、やむを得ず退院していただくという現象が起きてきます。

ただ、この話題は単純に解決できるものではありません。

一つとして、高齢化社会の進展に伴い、日本の医療費が切迫的事態に陥っていることも重要です。また、以前にも書きましたが、リハビリでは、「元の状態に戻す」ことが必ずしもできないことです。

脳卒中になって、重い麻痺が後遺症として残ったとします。「麻痺が完全に回復するまでリハビリしてほしい」と患者さん本人が思ったとしても、現在の医療・リハビリの技術ではそれは不可能であって、いつまでやっても患者さんの希望をかなえることはできないのです。

リハビリはあたかも、「万能」のように扱われますが、歴史的にみてもまだ浅く、効果や方法論においては不完全な部分が多い分野なのです。

悲観してばかりもいられません。下で働いている自分達にできることは、早期退院を迫られている患者さんに少しでも効果的なリハビリを、多く受けて頂くことです。そのために、「365日リハビリ」や「スタッフ数の確保(多ければ多いほど一人の患者さんに時間を費やすことができます)」など頑張っているのです。

リハビリの日数を決めるのは、、

・国と病院と、スタッフの質、努力、患者さん・家族の努力

ということになるのでしょうか・・・

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